【国指定天然記念物】長走風穴・芝谷地湿原

長走風穴・【国指定天然記念物】長走風穴高山植物群落

長走風穴(ながばしりふうけつ)は、青森県境に近い大館市長走地区の国見山(標高454m)の麓にあり、真夏でも0〜5℃の冷風が岩の割れ目から噴き出しています。このため標高170〜240mの風穴付近ではオオタカネバラやコケモモなど標高1,000m程度の亜高山帯で見られるような植物が群生しています。

風穴は明治の終わりから大正時代にかけて冷気を活用した倉庫として建屋が建築され、冷蔵庫として活用されてきました。主に関東地方に出荷する津軽りんごが保存されました。

現在は長走風穴館が設置され、風穴のしくみなどについて学ぶことができます。また散策路からは高山に登らなければ見られないような植物を手軽に観察できます。

気温の高い日には、風穴から白い冷気が流れ出す不思議な光景を見ることができるよ!

長走風穴館(大館市)のサイトへ

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また大館市内では、ほかにも風穴が確認されている場所があり、近年「秋田県北部風穴研究会」が立ち上がるなど関心が高まっています。

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風穴王・佐々木耕治

オダマキ

佐々木耕治氏(旧秋田県大内町=現在の由利本荘市 出身1869-1932)は、明治35年(1902)に長走を訪れた際、宿の主人から化物屋敷(風穴)の話を聞き風穴に巡り合いました。 その後、風穴の温度測定や貯蔵試験を繰り返し、明治45年(1912)に最初の冷蔵庫を建設しました。その後、風穴冷蔵庫の経営と高山植物の保護に尽力しました。

保全された高山植物群落は大正15年(1926)2月24日に、国の天然記念物に指定されました。

国指定史跡名勝天然記念物
名称:長走風穴高山植物群落
指定基準:六)泥炭形成植物の発生する地域の代表的なもの、(三)代表的高山植物帯、特殊岩石地植物群

文化庁 国指定文化財等データベースサイトへ

林業遺産 長走風穴倉庫群

長走風穴の倉庫群のうち2号倉庫と3号倉庫が、令和4年(2022)5月20日、一般社団法人 日本森林学会が認定する林業遺産に登録されました。 これら2棟の倉庫は、秋田大林区署白沢小林区署(現東北森林管理局東部米代森林管理署)が建造したもので、大正から昭和時代初期の種子貯蔵の中核として近代における東北地方の造林事業を支えた施設です。貯蔵庫部分は完全な形で現存し、その歴史を今に伝えています。

倉庫に入ることが出来るけど、寒くて長くはいられないよ〜

林業遺産
名称:長走風穴種子貯蔵庫遺構(長走字長走362-3、天然記念物長走風穴高山植物群落周辺)
認定対象:長走風穴種子貯蔵庫遺構、古写真
所有者:大館市(管理者 大館市教育委員会)

一般社団法人日本森林学会のサイトへ

【国指定天然記念物】芝谷地湿原植物群落

芝谷地湿原のノハナショウブ

芝谷地湿原は、大館市街から北へ6km、国道7号線沿いにあります。火砕流台地の段丘の上に位置し、標高84m, 長径約500m、短径約300mのU字形をした面積6.6haの湿原です。反時計廻りに北東から南西にかけて低い丘が取り巻き、外部と隔離されていますが南東部が国道に接しています。

芝谷地湿原は、この地方にごく普通にあった低地の湿原でしたが、こうした湿原は水田耕作や牧野開墾、宅地造成のため消失してきました。このように、過去に低地の湿原が減少する状況下であったにもかかわらず、芝谷地では湿原が残り、ノハナショウブなど湿原植物を多数産してきました。このことが学術上有益であるため、昭和11年(1936)9月3日、「芝谷地湿原植物群落」として国の天然記念物に指定されました。

ハッチョウトンボ

芝谷地湿原では、場所によって植生が異なっています。北湿原はオオイヌノハナヒゲ群落、西湿原はアゼスゲ群落、中央湿原(沼沢)はヨシ純群落が卓越しています。
なお、モウセンゴケなどの食虫植物が多いことがこの湿原の特徴の一つです。また、日本一小さいトンボ「ハッチョウトンボ」やチョウトンボを始めとする多くのトンボや野鳥を手軽に観察できます。

クマが出ることがあるので、鈴を鳴らしたり、声を出すのが良いかも。

芝谷地湿原(大館市)のサイトへ

国指定史跡名勝天然記念物
名称:芝谷地湿原植物群落
指定基準:(六)泥炭形成植物の発生する地域の代表的なもの

文化庁 国指定文化財等データベースサイトへ